田宮流居合 蒲田道場
田宮流居合 蒲田道場 たみやりゅういあい かまたどうじょう




 【居合 用語解説】
編纂 : 平井 隆人
※著作権上の問題があればご連絡下さい。

◆あ行

相ヌケ(あいぬけ)※01(少し詳しく参照 以降省略) 
 針ケ谷夕雲が創始した無住心剣流剣術最高の奥義とされ、究極の遣い手同士の勝負は、互いに打つに打てない高度な精神共鳴状態となる・・・とするもの。

足捌き(あしさばき)
剣道で動くときの足の動かし方を足さばきと呼ばれている。足さばきは「歩み足」「送り足」「継ぎ足」「開き足」と4種類がある。

歩み足(あゆみあし)
 日常の歩き方と同じ。 自然に歩く足さばきで、前後に遠く速く移動する場合に用いられる。

居合(いあい)※02
 腰に差した刀を素早く抜くやいなや敵を斬る術。

一足一刀の間合い(いっそくいっとうのまあい)
 基本的な間合い。あと一歩で攻撃可能範囲に入る間合いのこと。

居付き(いつき)※03
 足が止まり、動きが止まって、咄嗟に動けなくなることを言う。

受け流し(うけながし)※04
 相手の切り下ろしを刀で防御する。

打太刀・仕太刀(うちだち・しだち)
 剣術形をおこなう時、師の位にあって常に技を仕掛け、その技に応じて理に叶った技で勝つ方法を教える側を打太刀といい、逆に弟子の立場にあって打太刀の仕掛ける技に応じて正しい勝ち方を習う側を仕太刀という。 田宮流の組太刀では、主太刀・受太刀という。

送り足(おくりあし)
右に進む時は右足を先に動かし、その後に左足を右足に引き付ける動き方。前後左右で素早く動く時に有効。

起こり(おこり)
 技を出そうとして身体が動き出す寸前の予備動作を言う。


◆か行

構え(かまえ)
 中段の構え、上段の構え、下段の構え、八相の構え、脇構えの五種類がある。

観の眼(かんのめ)※05
 観見(かんけん)の眼の違いと言われて、敵の身体つきや表情を観察して事前に多くの情報を読み取る。つまり、戦術的な観察の仕方を言う。

急所(きゅうしょ)
 人体の弱い箇所。ツボ。お灸を据える箇所という意味で“灸所”と書いたりもする。

栗型(くりがた) 
 下緒を通す穴

剣先(けんさき)
 剣の先端の部分。又は剣が向かっている先のこと。剣先の位置は中段の構えなら相手の咽元あたりの高さに構えるのが一般的。
 この剣先が相手に効いているか効いていないかで、相手に与える威圧が天と地ほどの差が出る。

懸待一致(けんたいいっち)
 相手に懸かって行く気持ちと待つ気持ちを持つこと。 心理面も大切な要素。
 相手に懸かるだけや待つだけでは駄目で一致する事が大事である。 ※縣待一致 = 攻防一致

虚実(陰陽)(きょじつ(いんよう))
 フェイントと本気の攻撃。あるいは、防御と攻撃の駆け引きを言う。

鯉口(こいぐち)
鞘の入り口の部分。
「鯉口を切る」:左手の親指で鍔を押すことで「はばき」を鯉口から外し、刀を鞘からわずかに出すこと。内切・外切・控え切・隠し切などがある。


◆さ行

下げ緒(さげお)※06
鞘についている紐のこと。下げ緒の結束には流派ごとの違いがある。但し、右腰か左腰かの違いである。

鞘当(さやあて)
 武士が途中で行き会い、互いに刀の鞘が当たった事を咎めたてすること。 昇段審査で左側を歩き鞘当てしないようにしている。

鞘引き/鞘戻し(さやびき/さやもどし)※07
 居合の重要動作の一つ。 鞘引き(鯉口を切り鞘手と柄手が分かれてから鞘手が帯に接するまで)をしたら鞘戻し。「引いた鞘(腰)は戻せ」
 
残心(ざんしん)
 動作(敵を制圧)が完了した後も、油断することなく、相手の反撃に対応できる身構え・心構えをいう。

止心(ししん)※08
 心がある一つ事に奪われて、他の事が見えず、注意力がゆきとどかない事。

蹲踞(そんきょ)
本来はうずくまることで敬礼のひとつであるが、剣道で蹲踞という場合はやや右足前につま先立ちで両膝を左右に開いて折りまげ、上体を正した中腰の右自然体の姿勢をいう。

鎬(しのぎ)
 刀剣の部分の名称。刀身の真ん中より棟に寄って縦に一段高くなっている稜(側面の盛り上がっている部分)。刀を下にして構えた時左側を表縞、右側を裏縞という。 鎬を削る:戦いの時に、相手の刀と刀がぶつかりあい、鎬と鎬が接して火花を散らすこともある。

縮地法(しゅくちほう)
 足捌きの一方法。遠い間合を一挙動で滑るように縮める歩法。予備動作が少なく起こりが読みにくい。

上段の構え(じょうだんのかまえ)
 一般的に攻めの構え。一般的に使われているのは左足が前にくる、左前足・左諸手上段。(逆に右足を前に出した構えを右前足・右諸手上段と言う。)
 中段の構えから両手を振りかぶり、左こぶしが頭上にきたところで止めた構え。「天の構え」、「火の構え」とも云われる様に攻撃の構えである。

守、破、離(しゅ、は、り)※09
 修行の段階の状態を云う。

四戒=四病(しかい=しびょう)※10
 相手に対した時、驚、懼(おそれ)、疑、惑の念が生じると心に隙が出来る。これを心の四つの戒、または四病という。

真剣白刃取り(しんけんしらはどり)
 刀身を頭上で挟み受けるのは殺陣師が考えた虚構であり、実際には体を捌いて斬撃を躱すと共に刀の柄を取って奪う技。

水月(すいげつ)
 人体の腹の上方中央にある窪んだ部位。鳩尾(みぞおち)とも呼ばれる。 経穴(ツボ)であり急所でもある。内部背中側には腹腔神経叢(ふっくうしんけいそう)という神経叢があり、衝撃で横隔膜の動きが瞬間的に止まり呼吸困難に陥る。

すり足(すりあし)
 床をするように動く。剣術の基本。動作はこのすり足を中心に足さばきを行う。

隙(すき)
 四病といわれる驚・懼・疑・惑の生じた心の隙と、剣先が相手の中心から離れたり手もとが上る、又は下る等して生じた動作の隙や、構えの隙がある。

撞木(しゅもく)足 ※11
 足構えの一つ。 腰を落として逆八の字に足を開いた安定性のある構え。

正中線(中心軸)(せいちゅうせん)※12
 身体の前面中央を縦に徹る線。これが身体の中を頭頂から股間を通っているものを中心軸と呼ぶ。頭から縦に真直ぐ通る身体の中心線。

切羽つまる(せっぱ)
 刀の鍔(つば)の両面には、それぞれ柄と鞘に接する部分に薄い楕円形の金属が副えてある。これを切羽と云い、何かの理由でつまったりすると刀が鞘から抜けなくなる。

先を取る(せんをとる)※13
 敵が攻撃しようとする起こりを読んで先手を取ることを言う。 主に「後の先」、「対の先」、「先の先」の三つの対処法がある。

反(そ)りが合わない
 刀剣は緩やかなカーブを描いている。このカーブを「反り」といい、刀の反りと、鞘の反りがあっていないと刀は鞘におさまらない。


◆た行

太刀筋の種類(たちすじ)※14
 太刀筋とは刀の進行方向で、刃筋とはその進行方向に対する刀の刃の向きのこと。
 居合の基本形は、抜打ち(上下)と抜き付け(横薙ぎ)の三種類

丹田(たんでん)
俗に言う臍下丹田のこと。上・中・下の三つの丹田があるとも言われるが、大抵は下丹田を指して、単に丹田と呼ばれる。この場合、骨盤中央に生じる丹田感覚は、ゴムボールが膨張するような感覚だったり、小さく圧縮された点として感じられたり、人によって感覚は異なる。ただし、骨盤中央付近に感じるのは共通している。

中段の構え(ちゅうだんのかまえ)
最も基本の構え。
 基本的には剣先を相手の咽喉部に付けるが、左目、両眼の間、臍につける構えもある。「水の構え」ともいう。

継ぎ足(つぎあし)
 左足(後足)を右足(前足)の近くまで引き付け、その勢いで右足から素早く攻めたり、大きく踏み込んで打つ事が出来る。

手の内(てのうち)
 柄の握りや、柄の支え方 ※居合でも弓道でも正しい手の内が修行の課題である。


◆な行

なんば歩き
 武士が腰に二刀差し,手を振ると歩きにくいので,この半身ずつ出て行く歩き方。
 前に進むために,右足を踏み出すと,右腰が出て,右手が振り出される。以上で一歩。左足を前に踏み出すと,左腰が付いて出て,左手が振り出される。

日本刀
日本独自の片刃細身の湾刀。南北朝期の大太刀から、細工に使う小柄まで、タタラ製鉄法で作られた和鋼“玉鋼”を打って鍛えた刀剣を日本刀と呼ぶ。現代では美術品として所持が認められている。

抜き打ち(ぬきうち)
 もともと刀を抜くやいなや斬り付けることを云う。 右手で抜かず体捌きで抜くことが大きな斬撃力を生み出す。


◆は行

刃筋(はすじ)
刀の通る道筋のことで「刃筋が立つ」(刃が真直ぐに打突部位に向かって振られている)、「刃筋が立たない」(平打ち)、「刃筋がぶれる」などと使われる。

八相の構え(はっそうのかまえ)
 刀を相手に向けて刀を立て、右手を右肩前、左手を鳩尾(みぞおち)においた構え。 「木の構え」ともいわれ、自分の左肩越しに相手を見る。

ひかがみ ※15
 膝の前面を膝頭(ひざがしら)、膝小僧(ひざこぞう)という。後面はひかがみ(膕、引屈)という。

開き足(ひらきあし)
 身体を左右にさばく時に使います。足だけでなく腰でまわる事が大切。

袋竹刀(ふくろしない)
 革袋に割り竹を入れて作られた稽古用の竹刀。最初に発明したのは上泉伊勢守とされ、袋竹刀“蟇肌撓(ひきはだしない)”は、今も柳生新陰流に伝承している。

踏み込み足(ふみこみあし)
 相手に素早く踏み込んで打つ時に使う。右足から踏み込んで左足で身体を押し出すようにする。特に踏み込んでからの左足の引き付けを素早くする事で次の動作が円滑に出来る。


◆ま行

間合い(まあい)※16
 敵と自分との距離“感”を云う。 実際の物理的距離のみならず、感覚的な距離・角度・拍子・構え・戦法…等によって変化してくる。武術では間合を制した者が勝つとされている。間合いをはかる事が重要である。

間境(まざかい)
 自分の間合いの限界範囲のこと。また相手と自分双方の攻撃が届く距離の境界線のこと。
 間境を越えた状態を圏内 、間境を読む技術を間積もり(まづもり)という。

見取り稽古(みとりけいこ)
他人の演武や稽古をしっかり見ておく稽古。

目付け(めつけ)※17
 相手の動きを目や筋肉、重心の変化の微細な動きで、行動を読むことをいう。
 遠山の目付、二つの目付け、脇目付け、観見の目付けなどがある。

無構え(自然体)
両手を垂らして身構えることなくリラックスしたまま敵に身体を晒すこと。これは誘いの構えであって単なる無防備とは異なる。これを駆使できるのは武術でも中級者から上級者とされる。

模擬刀(もぎとう)
切れない刀。剣道形や居合道などで使用されます。


◆や行

やわら
古流柔術のこと。身体も心も柔らかく遣う極意だから、“やわら”と言う。

湧泉(ゆうせん)
 足の親指の付け根より、やや土踏まずに寄ったあたり。 ※整体の足ツボ
 足の裏の内側かつ前側の辺り。 居合の構えをするとき、重心を置く位置のこと。普通に立って、踵を少し浮かせた時に体重が掛かる位置。


◆ら行

理合(りあい)
戦闘理論のこと。居合の業は、すべて相手(一人から多数まで)の動きが存在する。
古流ともなれば、甲冑を着ているとか、騎馬であるとか敵の人数などの属性も加わる。
 それらに対して、何故この動きをするのか、何故この太刀筋なのか、ということの説明。


◆わ行

脇構え(わきがまえ)
 刃を斜め下に向け右手か右脇下にくるように刀を保持し、相手の動きに対応する構え。
 体中に刀を隠して相手に自分の武器の種類や長さなどを知らせないことから「金の構え」ともいう。




◆少し、詳しく

※01 相ヌケ
夕雲から小出切一雲が受け継ぐが、三世の真里谷圓四郎が師である一雲と相ヌケとならず、二度立ち合って二度ともに打ち破ってしまったことから相ヌケは否定され、無住心剣術の崩壊を招いた。後に幕末の天才剣客、白井亨が研究していたことでも知られる。

※02 居合
 林崎甚助重信が創始したと言われる。田宮流、伯耆流、関口流、立身流、香取神道流、水鴎流、タイ捨流、柳生制剛流等、多くの流派が今に伝わる。
 本来は座った状態から抜刀する剣術だそうです。ちなみに、立った状態での抜刀術を立合という。
 座った状態からの抜刀といっても、座りっぱなしではなく片膝で抜刀、立ち上がりながら抜刀などのように座った状態から刀を抜くところまで持っていくのが居合いである。 流派によってはどちらも居合いと呼んだりしている。現在はこちらの方が一般的。

※03 居付き
攻防の動作中に瞬間的に休止状態におちいり、対応動作が出来なくなった状態。
 棒立ちになったり、重心を落とし過ぎたりして咄嗟に動けないような状態。
 注意力が散漫になったり、恐懼疑惑に捉われて心の自由がとらわれた状態。

※04 受け流し
 受けの位置は、刀身を三等分した内、鍔元から三分の一までの部分。流派によって違う点は相手の刀に対するこちらの刀の角度である。
 神伝流では鎬で受ける(流刀など)。これに対して新陰流では刃を使う。
 前者は刃毀れを、後者は刀が折れる事を考慮して、そういう受けをする。これは互いの理合の問題で、たとえば新陰流では、刃毀れしても
武器としての攻撃力は失われないが、折れれば終わりという考えから、相手の刀に対して刃をもって受けるとされている。 どちらが良いという訳ではない。

※05 観の眼
「観の目を強くし、見の目は弱くする(かんのめをつよくし、けんのめはよわくする)」
 意味:宮本武蔵の著書の一節。目で見ることよりも、心の目で観ることが大事だ。
 武蔵は全ての大本である心を見る目を強く働かせ、現象を見る目を弱く働かせ、現象に惑わされることなく、行動の大本である心の動きを見落とさぬようにすることが大切であると述べている。

※06 下げ緒
田宮流や新陰流では本来、下げ緒のない刀を使っていたので、結束せずに垂らしても良い。

※07 鞘引き
 鞘引きは、抜き付けの鍵となる。刀を鯉口から十センチ程抜き出し、右腕で引き抜くのではなく鞘引きと腰の捻りで抜刀する。
 この時、体(上半身)が開いた状態になる。
 抜き付けた後はとどめの一刀が必要になるが、その際、体が敵に正対していなければならないが、鞘引きをして腰は開いている。
 これを正面に向ける為に鞘戻しをする。同時に右手も返るので、動作に無駄が殆ど発生しない。

※08 止心
 注意力がただ一点に凝結して、相手の体の動きや心の動きを洞察することが出来ず、同時に自分の心の動きも堅くなり、相手におくれをとる事となる。

※09 守破離
 《守》初歩の段階で師の教えを忠実に守り、練習に励み、技や筋を練ること。
 《破》初歩を乗り越えて前進すること。学んだ教えを自分のものにし、なお色々な方法を学び、その長所を取り入れ、
守の段階では得られなかった新しい面を知り一層強力となることを云う。
 《離》破を超え、一流一派をあみ出し、考え出す迄になる事を云う。独自の境地を見出し、奥義を見極め、師から離れ、師以上になることを云う。

※10 四戒
 驚、懼、疑、惑の四つは、剣術において戒とされている。
・驚(おどろく)
  突然の出来事に心が動かされ、一時心身の活動が乱れて正常な判断や適正な処置を誤り茫然自失してなす術のない状態をいう。
・懼(おそれる)
  恐怖心のおこることで、こういう時に心身の活動が渋り進退の自由を失う状態をいう。
・疑(うたがう)
  相手の心や挙動を疑って見定めない心の状態で、自己の意志決定ができず決断がつかないで、体の自由を失い相手の動作に応ずる事が出来ない。
・惑(まどう)
  心が疑う事で心惑う時は、精神昏迷し敏速な判断も軽快な動作もできない。体力と技を練ることも大切であるが、精神的修養に努めことが大切である。

※11 撞木足
 古流の剣術は、大別して「介者(かいしゃ)剣術」と「素肌剣法」に分類される。前者は合戦の場で鎧甲(よろいかぶと)を身に着けた状態での戦闘を想定していて、後者は平時に普通の服装での戦いを想定している。 鎧甲を身につけていれば、敵の刀身が多少我が身に当たっても大きく傷つく事はない。なので、鎧で我が身を守りつつ自分の刀が敵に十分届く間合に入り込んで、敵の鎧の隙間を正確に狙うか、あるいは鎧ごと叩き斬ってしまうような刀法が求められる。
 斬りつける部位も手足や脇、首筋など多彩であり、重い鎧を着けての近間での勝負は組み討ちまでも想定するため、腰を落として足を開いた安定性のある構え、すなわち身を沈めた「沈(ちん)なる構え」になりる。足構えも爪先を開いた鐘木立ちが主流となる。
 現代に伝わる剣術流儀の中でも、香取神道流などはこうした「介者剣術」の趣を残している。
 一方、戦国時代の末期になって鎧甲を着けての合戦の機会が少なくなると、剣術は平時の服装での戦いを想定した「素肌剣法」へと変化してきた。
 鎧を着けない素肌での戦いになりますと、敵の刀身が自分の身体に触れただけで、触れどころが悪ければそれが致命傷になってしまう恐れが十分にある。
 更に、重い鎧甲を着けていないため、互いの動きが敏捷になり、敵の動作の隙をついての一瞬の飛び込み打ちや、偶然の一撃が勝敗を分ける可能性も高くなる。
 自分が敵を斬りつけられる間合は、敵も自分を斬りつける間合であるから、素肌では容易に間合に近づくことが出来ない。その為、互いに刀身の届かない遠い間合から、敵を斬る事の出来る間合への入り方が重要になる。
 つまり敵を一刀両断できる間合に入り込んだ時に、自分は敵を斬る体勢が出来ていても敵は自分を斬る事が出来ない体勢になっていなければならないから、そういう状態をどうやって作るか、或いはそういう状態を作りつつ間合に入り込むにはどうすればよいかという事が「素肌剣法」においては技法上の重要な課題となった。
 そのため、互いに遠い間合で向かい合い、瞬時に動きやすいように腰を伸ばして真っ直ぐに立った姿勢、すなわち現代の剣道のような「直ぐ立ったる構え(新陰流)」が素肌剣法の主流となった。
 この修練の課程において、敵に対して斜(はす)に構えず、真正面から向き合って、ここぞという時には、全てを捨てきって、ただ真っ直ぐに面に打ち込むと技術と心構えが大変重要である。
 小野派一刀流剣術でも無限神刀流居合術でも、撞木足を徹底して使う。植芝合気道は、「レの字立ち」(六方に開く)と教示している。

※12 正中線
 剣術では剣先でこの正中線を取る事によって相手を制する事が出来る。逆に言えば相手に取られない様にする事が大事。
 人中路:じんちゅうろ。新陰流用語。

※13 先を取る
 ▲「先の先」相手が攻撃にいこうか・・・と気持ちが動いている隙にこちらから先に攻撃するタイミング。
  流派によっては先々の先という言葉もある。要は相手より早く行動すること。
 ▲「後の先」相手が攻撃を出すのを見切って迎撃するタイミング。
  ジャンケンで例えると、後出しを狙うもの。相手に先に攻撃させて、捌くなり躱すなり受けるなりして隙を作り致命の一撃を与える。
とはいえ、相手の攻撃を見切らなければ出来ない。
 ▲「対の先」相手が攻撃を出すのと殆ど同時に攻撃し、相手の攻撃を潰して自分の攻撃を成功させるタイミング。 所謂カウンター攻撃。

※14 太刀筋
 ・唐 竹:真直ぐに切り下ろす。剣道で言う面。
 ・袈 裟:相手の左肩から右胴にかけて斬りつける。  ・逆袈裟:相手の右肩から左胴にかけて斬りつける。
 ・右薙(胴):相手の右側から左側へ水平に斬る。    ・左薙(逆胴):相手の左側から右側へ水平に斬る。
 ・右切上:相手の右下から左肩へ斬り上げ。      ・左切上:相手の左下から右肩へ斬り上げ。
 ・逆風(さかかぜ)(切り上げ):下から上へ斬り上げ。  ・刺突:突き。

※15 ひかがみ
 膝は足裏以外では接地することが多い部位である。例えば踵を挙げ爪先と膝をついて座る座り方は「跪く(ひざまづく)」と言い、多くの民族に見られる。
 ちなみに、爪先を伸ばして足の甲と膝をつくのを正座という。

※16 間合い
 《一足一刀の間》一歩踏み込めば相手に刀が届き、一歩さがれば相手の切付を外す事のできる間。
 《遠間》一足一刀の間より遠い間をいう。
 《近間》一足一刀の間より近い間をいう。
 この他に、自分の手元の勢力範囲を「わが間」、敵の手元の勢力を「敵間」、精神面で相手の出方を正しく判断し、体勢や精神面を総合して自分から打ちやすく、相手から打ちにくい位置関係をとって戦う事を「心の間」という。

※17 目付け
 基本的なのは以下の四つ
 1.遠山の目付け
   目は相手の顔面につけながら、一点を凝視せず、遠い山を見るように、全体を視野に入れる。 相手の構え全体を見て、隙や技の起りを見破る。
 2.二つの目付け
   相手の顔面を中心に全体を見るのが基本で、特に相手の剣先とこぶしに着目する。
 3.脇目付け若しくは帯矩(たいき)の目付け
   目で動きを読まれないよう、相手の帯(腰)のあたりに目をつけて視線を合わせないようにする目付け。
 4.観見の目付け
   観の目付けとは相手の心理状況を看破すること。見の目付けとは肉眼で相手の実際の動き見る目のこと。 ※観の眼(かんのめ)参照
 その他に相手の目の動きなどを通して、その意志を察する「二星の目付」、目を中心に相手の顔面に注目する「谷の目付」、特に小手に注意する「楓(カエデ)の目付」等もある。 又、相手の肩に力が入って凝りが現れるのを「蛙(カワズ)の目付」という。



◆筆記試験問題 参考用 
※このまま記述すると失格になる。自分なりに理解し、整理して記述すること。

Q1: 抜きつけについて述べよ
A1:抜きつけは居合の命である。横一文字の抜きはじめから切っ先が鯉口を離れるまでは「徐・破・急」の速さで行い、鞘離れした一瞬の間に勝負が決まり、相手は倒れているいう心構えが必要である。

Q2: 守・破・離について述べよ
A2:「守」とは、師から教えられたことを正しく守りつつ修行し、それをしっかり身につけることをいう。「破」とは、師に教えられ身につけたことを自らの特性に合うように修行し、自らの境地を見つけることをいう。「離」とは、それらの段階を通過し、何ものにもとらわれない境地をいうのである。

Q3: 明境止水について述べよ
A3:月が水に映って、その水が波立っていない落ち着いた状況を武道の心の修行の教えとして表した言葉である。それは、どのような境地においても心がとらわれることなく、動揺もしておらず、静かな胸中をいうのである。

Q4: 鞘の中とはどんなことか説明せよ
A4:居合道では抜かずに敵を制することが大切とされている。つまり争わず傷つけず、殺さず、生かすという教えで、これはすべての武道にも通じる。特に居合道では、抜くことは最後の最後の手段とされ、抜いたら一撃のもとに倒さなければいけないとされている。そのため居合道では抜かずに敵の殺気をおさめることが重要視されている。それが「鞘の中」といわれることで、抜かずに敵を制する、争わないということである。

Q5: 気位について述べよ
A5:気品ともいう。居合道ではこの気位が技の内容に大きくかかわっている。単に斬ればいいというのでなく、その技から発せられる気位、気品というものが重要とされている。居合道は仮想敵に対する技であるが、そのなかに心が存在していなければならない。その心が気位といい、高段者になればなるほど心のあり方が重要視され、単なる刀法ではなくなる。内から湧き上がるような心のあり方がその技の内容を高め、より深いところへ登ることができるのである。

Q6: 残心について述べよ
A6:仮想敵を倒した後も相手に心を残し、もしもまた敵が攻撃してくるような気配を発したら直ちに倒せるように油断のない心をいう。これは居合道でも剣道でも大切なもので、一動作ごとに気も心も充実させていることが大事である。切ったまま。打ったままといった、後に心が残っていないのではいけない。残心は常に心がけることであり、血振りから納刀し終えるまで、仮想敵に対する攻めの気持ちを崩さない心構えである。

Q7: 気剣体一致について述べよ
A7:「気」とは打突(斬撃)の意思、「剣」は刀、「体」は足さばきと体さばきをそれぞれ指している。これらが一致して、少しも崩れない状態をいう。これらが一致することで、気にも剣にも体も充実し、精巧な技を抜くことができるのである。

Q8: 居合道修行の目的を簡単に記せ
A8:居合道ははじめ刀法の一種としてはじめられたが、その目的は現在では、精神の鍛錬を第一とし、身体の練磨、技術の訓練などである。礼儀や刀法などこの修行を通じ、学ぶ者自身の心身の鍛錬、人格の向上につながるものである。

 参考までに剣道連盟の「剣道の理念」は以下であります
  ・剣道の理念 : 剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である
  ・剣道修練の心構え : 剣道を正しく真剣に学び 心身を正しく練磨して旺盛なる気力を養い 
                 剣道の特性を通じて礼節を尊び、信義を重んじ誠を尽くして
                 常に自己の修養に努め 以って国家社会を愛して
                 広く人類の平和繁栄に 寄与せんとするものである

Q9: 居合の特性について述べよ。
A:日本刀を用いて修行する。狭い室内でも自由に練習が行える。自分一人で行える。老若男女問わず行える他。

Q10: 間合いについて述べよ
A10:敵と我との距離をいう。この間合も時間的、精神的な間合いも考えられる故に、緩急のリズムのある動作が必要である
A10:間合とは自分と仮想敵との距離で、刀を抜きつけ、切り下ろし、突き、柄当て、柄打ちする間合いをいう。剣道に比べ居合道は近間である。技によって多少の違いがあり、それぞれ抜く人によっても違う。常に切っ先3寸が仮想敵の体位を正確に切り、突け、打てることが間合いを学ぶ上で重要な部分である。(仮想敵も固定されているものではないので時間的、精神的な状況変化により各々間合いに違いがある)人それぞれ修行年数や経験によって一概に断定できないのである。この間合いを修行する人がそれぞれ修練し習得するものである。

Q11: 目付けについて述べよ
A11:正座、立膝、立った状態いずれの場合でも前方4M・5M先に視線を注ぎ、一点を見つめるのではなく遠くの山全体を望むように目を半眼にして見る気持ち。しかし動作中は常に相手を見て、倒れた相手にも目をつける。ただしあまりうつむきすぎてもいけない。


Q12: 居合道修行について
A12: ・正しい礼法の習得  ・安全面に留意する ・正しい理合の習熟 ・正しい基本と理合にのっとった技を習得する

Q13: 居合道の流派を述べよ
A13:現在連盟内でメジャーなのは・無双直伝英信流 ・夢想神伝流 ・伯耆流 ・田宮流 ・新陰流 ・水鴎流
 そのほか ・林崎流 ・無外流 ・関口流 ・新当流 ・香取新道流 ・長谷川英信流 ・夢想神伝重信流 

Q14:6本目について述べよ
A14: 敵の右斜め面を抜き打ちしたとき、あごまで切り下ろしているか
   中断になりながら後ろ足を前足に送り込んで確実に水月を突き刺しているか
  刀を引き抜きながら 受け流しに振りかぶっているか 

Q15: 10本目の着眼点
A15: ①柄(つか)当てのとき 強く確実に柄の平で打っているか 
  ②鞘(さや)引きしたとき 物打付近の棟(むね)を左乳に当て水月を確実に突き刺しているか
    ③突いたとき 左手は鯉口を握ったままへそ前におくり 左右のしぼり込みができているか
  ④脇構えを取ってからでなく 脇構えになりながら振りかぶっているか



 田宮流居合 蒲田道場 蒲田 良紀
Web担当 齊藤 力弥